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東京高等裁判所 昭和59年(ネ)235号 判決 1985年3月25日

控訴人(被告(反訴原告))

中山学

被控訴人(原告(反訴被告))

大東京火災海上保険株式会社

主文

一  原判決主文第一項を次のように変更する。

被控訴人の控訴人らに対する「昭和五一年三月一四日午後七時三〇分ころ埼玉県鳩ケ谷市宮地町一〇〇七番地先路上において発生した交通事故により控訴人らが受傷したことによる所得補償保険金及び後遺障害保険金につき控訴人中山学については金六〇七一万六六六六円、控訴人田辺寛については金五五六万六六六六円の各支払債務」は存在しないことを確認する。

二  控訴人らの本件控訴を棄却する。

三  訴訟費用は、本訴反訴を通じ、第一、二審とも控訴人らの負担とする。

事実

一  控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の本訴請求を棄却する。被控訴人は、控訴人中山学に対し金六〇七一万六六六六円、控訴人田辺寛に対し金五五六万六六六六円及び控訴人中山学につき内金四二〇〇万円、控訴人田辺寛につき金五五六万六六六六円に対する昭和五七年一〇月二七日から、控訴人中山学につき内金一八七一万六六六六円に対する昭和五八年九月二二日から各支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は、本訴につき請求を特定して主文第一項及び第三項同旨の判決を求め、控訴人らの控訴に対し控訴棄却の判決を求めた。

二  当事者双方の主張並びに証拠の関係は、原判決の事実摘示並びに本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これをここに引用する。ただし、原判決三枚目裏七行目の「右金員」の次に「(その金額は反訴請求の趣旨掲記)」に、六枚目裏六行目の「傷害又は疾病を被り」を「傷害を被り、疾病に罹患し」に、七枚目裏六行目の「支払う」を「支払うという」に、一二枚目中表六行目の「五二年」を「五一年」に改め、裏五行目の「第一四回」の前に「原審」を、一七枚目裏一〇行目及び一九枚目裏五行目の各「本件」の前に「原審の」を加える。

理由

一  当裁判所は、被控訴人の本訴請求は理由があるから、正当としてこれを認容し、控訴人らの反訴請求は理由がないから、失当としていずれもこれを棄却すべきであると判断する。その理由は、次のように付加訂正するほかは、原判決の理由一ないし三と同一であるから、これをここに引用する。

1  原判決二一枚目中表九行目、裏八行目及び裏一一行目の各「結果」の次に「(控訴人中山については原審)」を、表一一行目の「第一八号証」の次に「及び弁論の全趣旨」を加え、二二枚目中表三行目の「元」を「下」に、表六行目から表七行目にかけての「その刑事処分」を「右事件により懲役刑(執行猶予付)の宣告」に、表一一行目の「ある」を「あつた」に改め、裏八行目の「しかし、」の次に「証人河原辰之助の証言(一部)、」を、同行目、二三枚目表一〇行目及び二四枚目裏二行目の各「結果」の次に「(控訴人中山については原審)」を加え、二三枚目裏九行目から一〇行目にかけての「ことが認められる」を削り、二四枚目裏三行目の「真正に成立したものと」を「控訴人らが昭和五四年六月ころ河原方において控訴人らと河原との会話を録音した録音テープを再生してその内容を記録した文書であると」に改め、二五枚目表一一行目の「結果」の次に「(控訴人中山については原審)」を加え、二六枚目中表六行目の「いるところであり」を「おり、当審証人国本顕昌の証言も同旨であつて」に、表八行目の「河原が」から表九行目の「あつても、」までを「右証人国本の証言によると、河原は当時被控訴人の使用人(営業職員)であつたことが認められるところ、保険契約者の利益保護等を主目的とする保険募集の取締に関する法律の立法趣旨、同法九条及び二条三項の趣旨を併せると、保険会社の使用人が行う保険の募集は、保険契約の締結の代理にほかならないというべく、」に、表一一行目の「外務員」を「外務員(営業職員)」に、裏二行目の「あり、」を「ある。」に改める。

2  原判決二七枚目中表九行目の「一年間」の次に「一二回」を、裏四行目から裏五行目にかけて及び裏一〇行目の各「結果」の次に「(控訴人中山については原審)」を加え、二八枚目中表一一行目の「河原の証言」を「河原、同国本の各証言」に、裏一行目の「会社」から裏二行目の「されている」までを「会社所定の保険料領収証を発行する定めになつている」に、二九枚目中表四行目の「ないのであり、」を「ないのみならず、前掲乙第六号証の二、右各本人尋問の結果によると、控訴人田辺は、保険契約申込の際には名刺の裏に申込の事実をメモしておいたのに、残金四万円を支払つたという際にはこれをしなかつたというのである。」に改め、同行目の「態度」の次に「及び成立に争いのない乙第二号証及び第三号証の各一、二によると、第一回保険料領収証は、保険証券到着までの間はその代りとなるものであるから、保険契約者にとつては極めて重要なものであると認められるところ、昭和五一年二月二七日当日河原がいかに急いでいたとはいえ、その交付をしなかつたとか保険証券と一緒に渡すと言つたということは容易に考えられないこと」を、表一〇行目の「成立に争いない」を「前掲」に、表一一行目及び三〇枚目表二行目の各「結果」の次に「(原審、当審)」を加え、三〇枚目表一〇行目の「である。」を「であり、これを否定する趣旨の控訴人中山本人尋問の結果(当審)は措信し難い。」に改め、三一枚目中表四行目の「河原」の前に「被控訴人の営業職員としての」を、表五行目の「ないが、」の次に「河原が当時妻名義で金融業を営んでいたこと(証人河原の証言により認められる。)をも考えると、」を加え、表五行目から表六行目にかけての「このこと」を「右のような河原の要求」に改める。

二  よつて、当裁判所の右の判断と同旨の原判決は相当であつて本件控訴は理由がないから、これを棄却し、被控訴人の請求の特定に基づき原判決主文第一項を主文のように変更することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 吉江清景 近藤浩武 渡邉等)

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